ちょこみんと♪の著書
ちょこみんと♪先生の作品一覧
例によって手作業で頂いております
題材が題材なので
短編小説規模では収まらない長さとなります
基本1作品1ページにお纏めして掲載致します
(作品数が増える事を想定しての
対応となります、ご了承下さい)
怪談話:クレーム(未完結)
これは、8月中旬に訪れた少し奇妙なお話…。
私の名前は美香。
普通の子供服専門店で働く従業員。
温泉地が近く、この時期には連休を利用して
多くのお客様が来店される。
そして、今日もいつものように
同期の千夏と一緒に店内で
お洋服をたたみながら、外の様子を見ていた…。
時刻は18時…。
美香
「今日雨降るっていってたっけ?」
千夏
「うーん…天気予報は曇って…
でも、お盆の時期っていつも天候
悪くなるよね?」
そんなたわいもない会話をしてた時、
後ろからそっと声がかかる…。
女性
「すみません…
この子のパジャマを買いたいのですが」
声をかけてきたのは1人の髪が長い女性。
年齢は50歳を過ぎている様に感じた。
腕の中には1歳…いや3歳くらいなのか…
まだ小さい子供が大切そうに
抱かれていたのを覚えている…。
美香
「パジャマですね?こちらです…
上下セットのものでよかったですか?」
女性
「…」
数分間無言が続く…。
美香
「お客様…?」
女性
「…これにします…」
手に取ったのは上下別のセットになった
白いパジャマ…。
少し違和感を感じながらも…
美香
「ありがとうございます。
それでは、レジへどうぞ」
とお客様に伝えつつ、
そっと千夏にパジャマを渡した。
なぜだろう…。お客様が通りすぎる瞬間…
一瞬ぞくっとしたのだけ覚えている…。
何かおかしい…。
違和感だけが残ったまま。
時刻は20時。閉店までは後1時間…。
事務所に戻っていた美香と千夏。
そこに1本の電話が鳴る…。
着信履歴は…市外局番もあり非通知ではない…。
そっと、電話に出る美香。
内容は…
先ほど買った子供用のパジャマ…
下だけ入ってないとの事だった…
…確かに、私は千夏に上下セットを渡していた。
千夏に確認するも、
千夏は確実に上下セットをレジに通し
袋にいれたとのことだった…。
ただ、お客様に間違いでは?
などいえるわけもなく…
一瞬考え込むも結果としては、
すぐ新しいものをお届けいたしますとしか
言えなかった…。
美香と千夏は首を傾げつつも
腑に落ちない顔をするが
店長にクレームの内容を伝え、
すぐお届けすることにした。
新しいパジャマを袋に入れ、
美香と千夏は車に乗っていた。
千夏
「絶対いれたよね?
入れなかったらレジ付近に
おいてあったりするでしょ?普通…」
最もな話であった…。
そして、お客様から聞いた住所…。
そっとナビに登録し車を進めることにした。
雨は次第に強くなりつつあり、
街頭の明かりだけが見える程度であった。
美香
「ねぇ、この道っていつも
車通り多くなかった?」
千夏
「まぁ、この時期だし…それに…」
千夏の言葉も聞きながらも、
横を向きつつガラスに叩きつけられる
水滴だけを見つめていた…。
数分…いや30分は経っただろうか…。
街頭も疎らの山道に入り…
目的地まで後数分という所までやってきた…。
美香
「こんな所に旅館なんてあったっけ!?」
千夏
「…でもナビには2つ旅館あるみたいだよ?」
そっとナビの示す場所に視線を向けつつ…
また、違和感?を感じながらも
ゆっくりと視線を再び横に向けていた。
ナビが目的地を示す音声ガイドを流す…。
「目的地周辺に到着しました…
運転お疲れさまでした」
千夏
「ついたよ…。でも、ここ…」
やってるの?そう思ってもおかしくない…
明かりもなく駐車場は雑草が生い茂り、
整備されてるとは思えない。
そんな場所にゆっくりと車を止める…。
美香
「ねぇ?見て…看板…」
そこには、お客様であろう人が伝えてきた…
北湯煙旅館
と記載されていた。
もちろん、看板の明かりはなく…。
人の気配は全く感じない。
少し、不安に思いながらも
反対方向に目をやると、
もう一つの旅館が目にはいった…。
看板には東湯煙旅館…。
明かりもあり、営業している様子が伺えた…。
千夏
「美香…。聞き間違えたんじゃない?
明らかにここでしょ?」
美香
「…でも、北って確かに…」
少し無言になりつつも、千夏を見つめ…
「かな?」と呟き二人で車を降りることにした。
営業しているであろう東湯煙旅館の前につくと
ゆっくり扉をあけて中を覗き込む…。
美香
「こんばんはぁ…。誰かおられますか…?」
少し申し訳なさそうに、
周りをみつつ声を出すと
ゆっくり1人の従業員らしき女性が
近づいてくる…。
「ご予約のお客様ですか?」
と声をかけられると、メモを取りだし…。
美香
「あのこちらに…。
○○さんって方泊まられてますか?
私、○○店の従業員で××と申します。
商品をお届けにきたのですが…」
恐る恐る聞いてみると、女性は笑顔を見せて
「少しお待ちくださいね」
と言葉をかけ、本日泊まられている方の名簿を
ぺらぺらとめくり始めた…。
数分後…。
「ごめんなさいね。
そのような方は本日おられませんね?
うちの旅館で間違いありませんでしたか?」
そっと首を傾げて声をかけてくれた女性に…。
美香
「電話番号…××××―××…。
で北湯煙旅館って聞いたのですが…」
といいつつも、
そっと外を見つめ始め女性の方に顔を向けた。
そこには、目を丸くしたまま
口を半開きにした女性の顔があった…。
「電話番号…。本当にそこからかかってきたんですか?」
と少し驚いた顔で伝える女性…。
美香
「…はい。
確かにディスプレイに出ていましたし…
間違いはないと…」
そう伝えると女性はゆっくりと口を開く…。
「北湯煙旅館の番号で間違いないですよ。
ただ…。
あそこ今は営業されてません…。
数年前に廃業しましたままで…」
千夏
「え?…。どゆこと?…ねぇ、なんか…え?」
困惑するのも無理はない。
廃業した旅館から電話など
かけられるはずないのだから…。
ゆっくりと千夏が私の顔を見つつも…。
千夏
「ねぇ、美香…。なんかおかしいよ…。
と、とりあえず帰ろ?」
美香
「う、うん。そうだね…。
あ、ごめんなさい…。
なんか間違いだったのかもしれません…。
ありがとうございます」
頭をゆっくり下げつつも女性にお礼を伝える…。
「あの…。その連絡されてきた方って…」
と少し震えた声で青ざめた顔で口を開くも、
そのあとは何もいわず…。
ただ、
「気を付けて帰って下さいね?」
とだけ伝えてきた…。
不安いっぱいのまま、二人は頭をさげ…。
旅館を後にし車を止めている駐車場に
気づくと戻ってきていた…。
美香
「間違いだったのかな?
なんか不思議だけど…。でも仕方ないよ…。
一度お店に戻って店長に報告しよ?」
千夏にそう伝えると、
二人は車のドアをあけ
ゆっくりと車のシートに腰を下ろした…。
エンジンをかけようとしたその時であった…。
「……着信音」
美香の携帯が振動と共になりはじめた…。
通知されている番号は…。
そう…。
間違いない北湯煙旅館!
美香
「え?え…。なんで…。えっ…」
焦っていたのであろう。
とっさに画面をスライドし…。
美香
「も、もしもし…」
電話から聞こえてきたのはまぎれもない…。
クレームを伝えてきた女性…。
美香
「あ、あの、今…。
北湯煙旅館の前にきたのですが…。
その…」
やはり、明かりもなければ人の気配もしない…。
そのまま建物を見つめていると…。
「街頭の下にいます…」
とだけ携帯の向こうから言葉が聞こえ…。
そっと通話がきれた。
千夏と顔を見つめ合わせた瞬間…。
千夏
「ねぇ…。あそこ、人いない?」
千夏が指さした方向…。
街頭が一つ。
その下に確かに人影が見える…。
美香
「…千夏行ってくる…。あの方だよ…。きっと」
千夏
「え、でも、美香なんか変だよ…。
も、もしかして…」
美香
「…霊なわけないじゃない。
は、はやく謝って渡して帰ろうよ…」
千夏は霊とは一言もいってないが、
言いたいことは分かった。
怖い…。
でも…。
このまま帰るわけには…。
の一心で車を降り、傘をさしながらゆっくりと近づいていった…。
美香
「あの…。○○様でよかったですか?
申し訳ありません…。これ…」
そう伝えながらも、
なぜか足が勝手に震えていたのを覚えていた…。
ここでも何か違和感を感じていたのだった…。
千夏
「…申し訳ありませんでした…。
上だけのものはそのまま使っていただいて…
け、結構ですので…」
千夏も頭を下げつつ、そっと袋を手渡すと…。
相手の反応も聞かず…。
車の方に小走りに走りつつ戻っていた…。
クレーム処理としては…。
間違いなく正しい対応でないだろう…。
しかし…。
今はそれさえも越える何かが勝っていた…。
恐怖…。
という言葉は後になってやってくる…。
そう…。
それが今なのであろう…。
続く